Go To TOP PAGEWomen's Japan Lacrosse National Squad

 Women's Japan Lacrosse National Squad

世界大会・現地レポート
レポート Vol.14
2005年6月30日(木)
 
カナダ逆襲 しかし・・・、ここからが本当のワールドカップだった。
その1分後の14分10秒、カナダ#5Jessica Brownridgeのシュートを#1西村麻希がセーブしたボールがこぼれ、ゴールイン。次いで、同じく#5Jessica Brownridgeが2連続ゴールで2点差に。何か手応えを掴んだのか、ここから一気に追撃モードに入る。15分40秒、#28Crysti Footeも1対1でシュートを決め、あっという間に1点差まで詰め寄る。試合開始からこれまでの対戦チームとはまるで格の違いを見せていたカナダではあるが、それでもポロポロと発生していたパスやキャッチでのミスがほとんどなくなり、嵐のように1対1を仕掛けてくる。カナダがここにきてようやくその実力の全貌を現したのか、それとも日本のプレーがカナダの実力以上のものを引き出させたのか。ともかく、POOL A常連チームが日本に対しここまで必死になる姿を始めて見た。
カナダサポーター 後半の途中からカナダが連続得点を決める事が出来た大きな要因は、ドローの獲得率にある。前半は日本の10回に対し半分の5回しか取れていなかったカナダが、後半になってほとんどのドローを獲得している。ボールさえ容易に自分達のものに出来ればカナダの攻撃力は高い。試合開始から今まで、比較的ボールを保持してからシュートまでに費やす時間の短かったカナダが、ここでゴール前でパスを回し始める。残りの10分、時間を有効に使って日本を焦らせ、攻める時間を与えないようにしながら、確実に1点返して逆転して、1点差で良いから勝とうということなのであろうか。
 そして23分55秒、パス回しとカットインで日本ディフェンスが手薄になったところから#5Jessica Brownridgeの1対1でのシュートが決まり同点に追いつく。Brownridgeは本日4得点目。会場が沸く。1分半後、同じ形で#22Jennifer Johnsonが得点して10-11。日本、わずか4分弱の間に5点を返され、形勢は全く逆となった。
日本ベンチ 「タランチュラだ!!タラをやれ!!」コーチBOXから指示が出る。
「タランチュラ(毒蜘蛛)」とは、日本のディフェンスと戦術の基盤となっているオールコートゾーンプレスライド「スパイダー」のハーフコート版で、相手がクリアーをする時を待たず、相手が攻めている日本のゴール前でボール保持者に二人のディフェンスが当たりに行き、パスレンジ及び視界にゾーンの網を張り、ボール保持者が苦し紛れに出したパスを出所で刈るという積極的なディフェンスのことだ。当然ゴール前にディフェンスの薄いエリアが出来、リスクはある。
しかし、奪わなければ負ける。日本、必死にボールを追い、出たパスに食らいつく。
上井
必死の日本
日本にも得点チャンスがゼロになったわけではない。
#16和田亜紀子(ドン)にボールを集めるが、これまでの試合での活躍で、10カ国合計のポイントランキングでダントツのトップを走っている和田をカナダが警戒していないはずがない。和田がゴール裏から得意の1対1を仕掛けようとすると、カナダのディフェンスが3人たかって来てボールを落としに掛かる。同じくポイントランキングで和田と並び首位の#14上井華奈(ウー)は、シュートを打つチャンスはあるものの、バウンドシュートを外してしまう。また、前半から好調のカナダのゴーリー#43Kristen Maldemenが神がかったようなビッグセーブを繰り返す。かと言って攻めないでボールを持っていても、無情に時間が過ぎて行くだけだ。仕掛けては弾き飛ばされ、シュートを打っては相手ボールになって必死に追うを繰り返す。
スパイダー
小林・澤田

ラスト3分、カナダのゴーリー#43Kristen Maldemenは、自分でボールをキープし、クリアーのパスを全く出さなくなった。この無理に攻め運んで奪われるよりも、自分たちが攻めない=日本にボールを奪うチャンスを与えないことにより、この1点リードで逃げ切ろうという思惑だ。日本はスパイダーを最大限に敵陣方面に押し上げ、3名がゴーリーにプレッシャーにいく。だがディフェンスラインを押し上げたことで出来た最前線の二人のフリーに、ゴーリーから超ロングパスが出る。ワンバウンドしたボールはゴール左サイドの#5Jessica Brownridgeに通り、猛烈な勢いで戻った日本のディフェンスが体勢を整える前に、逆サイドの#3Lindsey Hartにアシストが出て、シュート。ゴール。2点差。カナダはボールキープに入る。「スパイダー!!」最後まで必死にサイドラインまでボール保持者を追いつめる#9小林絹枝(キム)と#7澤田彩(ナナ)。
しかし、試合終了のカウントダウンは始まっていた・・・。

11-13。カナダサポーターの大歓声の中、2点差でカナダの逆転勝利が決まった。



Photo & Report by 日本ラクロス協会広報部・橋本薫

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