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 Women's Japan Lacrosse National Squad

世界大会・現地レポート
レポート Vol.16
2005年7月2日(土)
 
徳永 日本サポーター  そして8分47秒、徐々にボールに触ることが増えてきた#11 徳永志帆(シホ)が左サイドから1対1を仕掛け、流れるようなシュートで見事同点ゴール!起死回生の1発に、これまでやや静かだった日本ベンチおよびサポーターは、気持ちを爆発させて盛り上がった。
小林  その後すぐの9分01秒、前半から攻めでも守りでもチーム一と言っても良いほど気持ちを全面にプレーに出していた#9 小林絹枝(キム)が、試合の流れを変えるきっかけとなるゴールを決める。畳み掛けるような再逆転劇で日本はさらに盛り上がる。小林もガッツポーズで応える。後半はお互い2連続得点、だが日本がこの時間帯に同点に追い付き勢いを得てきたことから考えると、ウェールズが焦りだすのは必至である。日本、やや優勢となる。
山田  さらに12分47秒、#14 上井華奈(ウー)のアシストを受け、#15 山田幸代(サチ)がディフェンスを振り払うようなフォロースルーでシュートを決める。山田は長い時間チャンスメーカーとしてゴール前のスペース作りに徹しながら、シュートチャンスを伺っていたのだった。まさに一球入魂。山田のシュートは日本の貴重な追加点となった。
 だが・・・、日本はそう簡単に流れを引き寄せさせてはもらえなかった。1分後のディフェンス時、ゴーリー#1 西村麻希がゴールサークル近くで「ウェールズの魂」#8 Gemma Morganと接触し、“倒された”ように見えた。だが判定は日本側のファウルで#8 Morganのフリーショット。「ええ!?」「おい!!」と思わず疑問の感情を露わにするコーチ陣。しかし、一度決まったものが覆ることはなく、#8 Morganはこのフリーショットを確実に決め、9-8と1点差に戻す。体力的な消耗もピークに達したラスト15分という時間帯に、「予想外のジャッジに動揺しそうな自分自身」という見えない敵が頭をもたげだした。
小林  非常に重要と思われた次のドロー。どちらが取るかと固唾を飲んで観衆が見守る中、それを制したのは#9 小林絹枝(キム)だった。ボールを手にした彼女はそのまま迷うことなくゴールに向かって走り出す。体よりもクロスが先行する、小林独自の1対1スタイルである。周りの攻撃陣も意図を汲んでディフェンスの裏を取り、道を空ける。小林はひらりひらりとディフェンスをかわしながらセンターを突っ切り、勢いにつられて飛び出てきたウェールズゴーリーの脚の間を狙ってバウンドシュートを叩き込んだ。目も覚めるような独走シュート。不利なジャッジをきっかけに知らず知らずのうちに露れ始めた目に見えない敵が日本を支配する前に、自らのプレーですっぱりとそれを断ち切った。小林は前大会の経験者であり、#5 川辺美穂子(アキラ)Capに次ぐベテランでもある。国内活動中から、「前大会経験組には、試合中、コーチに頼らずフィールド内の自分達の力で危機的な状況から脱出しなければならない時こそ、そのプレーや判断で状況を打開して、チームを引っ張って行って欲しい。」というようなことをよく語っていた高田静江(シズエ)HC。その期待に見事に応えるファインプレーであった。
 日本にとって不利なジャッジは続く。ウェールズの攻撃時、ホイッスルが鳴り、直接プレーに関わっていないように見えた#3 渡辺奈緒にイエローカードが出され退場処分となる。今試合、日本に対する実に4枚目のイエローカードだ。「何もしてないのに!!」と憤慨しながらベンチに戻ってくる渡辺。しかし、「でも日本が勝つんだから!」と大声で言い切った。
上井  不利な状況。しかしプレーの面では日本がゲームを制しつつあった。「足を止めるな!ゆっくりボール動かしながら、相手が何をしようとしてくるか見てろ!」とコーチ陣から指示が飛ぶ。その指示に従ってボールキープしつつも、チャンスは逃さなかった。20分35秒、#14 上井華奈(ウー)が左上の#13 塙妙子(タエコ)からボールをもらって中へ仕掛ける。相手ディフェンスのポジションがずれた所を見計らってすかさずシュート。11-8。その差を3点に広げる。
タイムアウト  3点のビハインドを背負ったウェールズが最後のタイムアウトを取る。試合時間は残り10分。このタイムアウトを有効に使ってチームを建て直すことができれば、逆転するのに十分なだけの時間はある。日本は逃げ切らなければならない。POOL Aまで、残りだったの10分。だが途方もなく長い10分になるであろう。石渡素子(モトコ)ACの「絶対に引くな!!!」という強い声が円陣に響いていた。
必死のウェールズ  点差が3点あるとは言え、残りの試合展開が日本の一方的な展開になるわけはなかった。歴史と伝統を失う危機に瀕した今、ウェールズも必死である。そして相変わらず不利な判定によって日本は苦しめられる。両国とも、前半に比べて運動量は減っている。だが、ここぞという時のボールへの寄りや走りに、それぞれの勝利への執念が表れ、目が離せないプレーの連続だった。


Photo & Report by 日本ラクロス協会広報部・橋本薫

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