2004年9月25日(土)・26日(日) 第5回練習会 於:東京・大井ふ頭中央海浜公園第2球技場(9月25日)
埼玉・東洋大学グランド(9月26日)9月25日(土)練習
この日、大井ふ頭中央海浜公園第2球技場では、直前まで関東学生女子リーグ戦の試合が行なわれていた。日本代表選手が所属している大学の試合もあったため、熱戦の雰囲気が冷め遣らぬ中でミーティングがスタートした。
まず、馬渕博行トレーナー(以下、TR)から、トレーニングについての説明があった。今回は、これまでよりも時間を割き、負荷の高いトレーニングを予定している。これは、馬渕TRと早川亜希サポートトレーナー(以下、STR)が、日本代表選手の所属しているチームのリーグ戦を可能な限り視察し、選手の試合でのパフォーマンスの状態を見て考えているメニューである。
”なぜ”トレーニングに多くの時間を割き、フィジカルアップを求めるのか?
高田静江ヘッドコーチ(以下、HC)が、世界大会での日本の戦略に絡めて説明した。世界大会は、約7日間、ほぼ連戦が続く過酷な戦いである。その上、日程が進むにつれて、より強い相手と戦うことになる。強い国と対峙した時にこそ、それまで練習してきた戦術を、高く正確なパフォーマンスで出せなければならない。そのために、トレーニングを重視しているのだ。石渡素子アシスタントコーチ(以下、AC)は、前回から一部選手が試験着用しているアイガードについて話した。今回の練習でも引き続き、交代しながら試験着用する。
次に高田HCと石川貴一ACが、今回の練習会で練習の中心となる4対3の速攻練習の説明をした。曰く、「今までの練習でも速攻で得点できているシーンはあるが、まだ偶然に成功したものが多い。今まで偶然的に出来ていた速攻に習慣性・連動性を付けて、数的優位な状況での得点を確実なものにして行くために、4対3の状況を繰り返し練習する」とのこと。
<練習内容> (1) フィジカルトレーニング・測定 トレーナー陣の仕切りのもとで行なわれた。腹筋や、2人組で自重を利用した“マニュアルレジスタンストレーニング”、50m測定、アジリティ−などを約1時間みっちりとこなした。マニュアルレジスタンストレーニングは動き自体は地味だが、繰り返していくに従って序々に効いて来るようだ。嬉しい悲鳴を上げる選手がちらほら・・・。
自重を利用して前腿のトレーニング。
左…今回初招集の森明菜
右…小林絹枝
2ヶ所に分かれ、アジリティ−のタイムを測る。
マーカーで仕切られた狭い空間を、前後左右に細かくステップしていく。
写真は澤田彩。(2) ハーフフィールドでの4対3 今回の練習会でキーとなる、数的優位を生かした速攻の練習。
始まってしばらくは、頻繁に練習が中断し、コーチ陣から動き方の指示が出る。今までの練習会で頻繁に叫ばれてきた、「ディフェンスを見ろ!」という声が、この練習においてもコーチ陣から盛んに発せられていた。なぜなら、オフェンスがいくら積極的に動き回ったとしても、ディフェンスに危険なところを押えてしまわれている限り、シュートチャンスは生まれない。ディフェンスの体の向き、目線などに注目することによって、誰(どこ)を生かすかが正確に判断出来るようになるからだ。ディフェンスと自分との距離も非常に重要で、ディフェンスに近づくことによってディフェンスに引いて守らせない、又は迷いを生ませるような動きと、ディフェンスから離れて広く位置することによって、ゴール前にスペースを生ませるような動きの両方が使えるように、と指示を出していた。
オレンジがオフェンス、白がディフェンス。
向かって奥にディフェンスを寄せる動きをすることにより、手前の山田幸代(8番)にシュートチャンスが生まれた。
裏へパスを回す塙妙子と、ディフェンスに付く松井理紗。
(3) ハーフフィールドでの8対8 ディフェンスは「コミュニケーション」を練習のポイントに置き、ゴーリーの指示のみで動く時間と、ディフェンスの声だけでプレーする時間を作り、互いに声が出ているか、呼応できているかなどを確認していた。
途中、高田HCの「ちゃんとコミュニケーションは取れているか?」との問いに、
佐藤真理子 「まだまだ」
川辺美穂子 「一方通行」
とのこと。
自分から声を出す事は出来るが、人の声への反応が薄いようだ。
その解決策の1つとして、相手の名前を呼んで指示を出そう、という案が選手から出ていた。
途中、選手達を集めて指示や説明をする石渡素子AC。
「皆、自分が何をするかの声は出ているが、人を動かす指示があまり出せていない。
それをするためには、周りの状況を良く見ること」とのことだ。本日もアイガードを試験着用した。
左・・・今回初招集の川口圭子
彼女は自分の所属チームでも普段からアイガードを着用している。
右・・・佐久間朋子(4) フルフィールドでのゲーム 7分を2本行なった。人数は増えるが、ゲームの流れの中で数的優位な状況での速攻という場面を如何に多く作り出せるか、そして成功させるかが焦点。 本日の練習会には、遅くまで約50名もの見学者が。
ナイターの肌寒い中、見て下さいましてありがとうございました。
見学者の一人に感想を聞いてみました。
「自分のチームの練習と違い、選手同士で声がすごく出ていて活気があった。トレーニングをあんなにやっているのにはびっくりした。4対3やゲーム形式なども、プレーのレベルが高い。時間が経つのを忘れて見入ってしまった。4対3でのアタックの動き方など、自分達の練習に取り入れて行きたいと思います。また練習を見に行きたいです。」とのこと。
練習会場まで足を運んでの応援は、女子日本代表チームにとって大きな励みになるものです。
選手・スタッフ陣も、質の高いパフォーマンスで応援に応えたいと思います。
Report&Photo by 女子日本代表サポートマネージャー・橋本薫
Photo by 日本学生ラクロス連盟東日本支部広報委員会メディア班・丸山雅代 & 力石優子