<OPINION>
2006年、ラクロスの世界はどうなっているか

How to dominate this coming decade”ピンとキリ”は・・・?

                (ラクロスマガジン・ジャパンより掲載)

日本ラクロス協会 事務局長 早川靖彦

 ラクロスの10年後。

それを語るとき、「それは全てのOB、OG、そして現役学生選手の意識と行動力にかかっている」と、大前提として言っておかなければならない。
 と言うのは、どれだけ事務局や学連の役員が努力しても、どんなに協力団体が増えても、たとえスポンサーが増えて潤沢な資金を得たとしても、「OB、OGなどの歴代関係者、現役選手たちの関心や理解を含めた『当事者達の自覚と現状』がそれに見合わない」ならば、『キリ』となる。つまり「日本ラクロスの緩やかな消滅」である。 その理由を説明しても現役選手の皆さんには実感がわかないと思うので、これからは『ピン』の話をしようと思う。

1 )1997年女子ワールドカップ東京大会成功

2 )同大会にて女子日本代表が3位決定戦に出場

3 )同大会にてアジア諸国から使節団の招聘成功

4 )1998年男子ワールドカップ米国大会にて、日本代表1部リーグ昇格

5 )2000年中国・韓国・日本が参加して国際親善試合開催(恒例化)

6 )2001年女子日本代表ワールドカップ銅メダル獲得

7 )同年、国内リーグ戦の完全予定化(大会開始までに全日程が決まる)

8 )2001年中国・韓国が女子ワールドカップにエキシビジョン参加

9 )2002年中国・韓国が男子ワールドカップにエキシビジョン参加

10)2003年初のアジア選手権開催(4年毎恒例化)

11)2006年国内

   男子:有料入場者数15万人(年間)

   女子:競技人口6万人(協会登録者)

12)同年、日本ラクロス協会法人化(種類は未定)

 以上が、事務局長の立場からの日本ラクロス10年構想の大筋だ。『ピン』と言うには現実的すぎるかもしれないが、非常に妥当なラインだと思う。
(私はその時、35歳・・・。)

 「へえー、すごいね。」と他人事に思う皆さんの感想が聞こえてくるような気がする。
 そんなことより、「今年は新人部員、来るかな?」「練習場所をくれっ!!」「体育会になりたい!」「奈良さんに相談しなきゃ・・・」「今年は2部昇格!」「何でテレビでやらないの!?」「ジャパンになりたいけど、九州だからなあ」「社会人になってまで、勝つためのラクロスはちょっとね・・・」などなどなど。

皆さんの普段の願いや興味の焦点は、このクールな「10年構想」とは完全に、少なくとも自分に無関係なものと考えがちなはずだが、それは違う。
 全ては関連していて、無関係なものはなものは一つもない。逆に言うと、皆さんが努力をしない(向上する気がない)と、それはそれは静かに、そして確実に『キリ』の道を歩む。
 だからって、そんなことは何の影響力もないし、誰かに迷惑をかけるわけでもない。

 その理由は、簡単だ。アマチュアスポーツなど所詮(しかし高級な)「遊び」だからだ。
 「ラクロスが消滅して、死ぬ人などいない」そういうことだ。
 要は、「ラクロスで遊んでいる人がラクロスを愛さなければ、他に愛す人などいるわけがない」という当たり前のことで、それ以上でも以下でもない。

 「10年構想」は非常に現実的だ。しかし、それが達成されなくとも、私は一向にかまわない。それは自分一人が、もしくは「一握りのラクロス好き」が死ぬほど努力しても、達成は出来ないからだ。そのことが皆さんの「普段の興味」の場合も全く同じであるということを、現在の「ラクロス好き」の皆さんや私は知るべきなのだと思う。

 夢は見るものではなく、かなえるものなのだから。


Copyright(C)@Japan Lacrosse Association1997.4.26