2008年12月13日(土)、曇り空の中に時折晴れ間がのぞく空の下、江戸川区臨海球技場にて第19回全日本選手権大会が行われた。関東学生1位となった慶應義塾大学(以下、慶應)と、学生4地区1位となった九州大学(以下、九州)との戦いとなる。
試合前に両主将にインタビューを行ったところ、慶應の主将・関根選手は、「今日の相手の九州大学は地方だが、ビデオを見る限り強いので、勝ちたい。」と語った。関東学生王者の慶應には油断はない。一方、九州の主将・内海選手は、「失うものは何もない。勝つのみ。」と語った。今大会初出場の九州は4地区代表として史上初の全日本選手権一回戦突破を果たすことができるのか、注目である。そして、フェスオフの笛が鳴り響いた。
第1クォーター、最初のフェイスオフを制したのは慶應であった。そして、九州のゴールに襲い掛かる。しかし、九州#2G古賀によって阻まれる。その後はお互い、シュートの撃ち合いになる。特に九州は早いパス回しにより、慶應のゴールを脅かす。だが、慶應#2G岩本の鉄壁の守りによって、九州はゴールネットを揺らすことができない。お互いシュートは撃つが決まらない状態が続いていたが、開始14分25秒、ついに試合が動いた。慶應#40AT関根のパスをクリースでもらい、そのままシュートを撃ち最初の得点を決めた。この得点で流れに乗った慶應は、続くフェイスオフもとり、攻撃の時間が増えていった。そして開始18分、慶應#11AT澤野が裏からのパスをもらいシュートを決めた。序盤こそ慶應と九州は均衡を保っていたが、スコアが2-0となり、流れが完全に慶應に傾いたところで第1クォーターは終わった。
第2クォーター、九州は第1クォーター終盤に持っていかれた流れを引き寄せることができるのだろうか。しかし、開始43秒、慶應#40AT関根の裏からのパスを#20AT齋藤が右サイドでもらい、相手DFの隙を見逃さずゴールへ鋭いバウンドシュートを突きさし得点を決め、早々と3-0としリードを広げた。続くフェイスオフも慶應がとり、開始1分49秒、慶應#40AT関根の裏からのアシストから、クリースにいた#10AT長がジャンプしながらのアクロバティックなシュートを決め、点差を4とした。これ以上点差を離されたくない九州は、フェイスオフでの慶應のファウルによりポゼッションを得る。大事に攻めたい九州だが、パスをカットされポゼッションを慶應に奪われてしまう。その後、開始6分18秒、慶應#25DF山口がゴーリーからのパスをもらい、そのまま攻め込みロングスティックから放たれる強力なシュートで慶應の5得点をもぎ取った。続くフェイスオフは九州がとった。ここは確実に1点目が欲しい九州。そこで、決めたのが九州#15MF久保田であった。開始7分、左上からの1対1でランニングシュートを決め、この試合九州の初得点を挙げた。九州としては、スコアを1-5とし、点差を4点と縮めて、波に乗りさらに点差を縮めたいはずであった。だが、九州の得点の4分後の開始11分、慶應#22AT齋藤がトップでパスをもらい、右下へ1対1を仕掛けジャンプシュートを放ち得点を決めた。この得点で再び点差が5点となってしまった。さらにその後、開始14分と16分40秒に慶應#40AT関根の連続ゴールにより8-1と慶應がリードを広げた。完全に流れに乗った慶應を止めることはできない。残り45秒、慶應#11MF澤野が1対1で得点を決め、スコアを9-1とした。そして、終了間際に九州がスラッシングのファウルをしてしまい、完全に慶應の流れのまま第2クォーターが終了した。
第3クォーター、第2クォーター終了間際同じ人数、つまり慶應が1人多い状態でフェイスオフが開始された。このチャンスは逃さない慶應。確実にポゼッションをとった。そして、開始50秒、慶應#10AT長がエキストラマンオフェンスで、トップから豪快なシュートでゴールネットを揺らし、10-1とした。このまま慶應の怒涛の攻撃が続くかと思われたが、しばらくお互い得点が決まらない均衡した状態が続いた。だがやはり、均衡状態を先に破ったのは慶應であった。開始8分23秒、慶應#4MF川上が裏からのパスをもらい、そのままランニングシュートを決め、スコアを11-1とした。慶應が再び流れに乗ったかと思われたが、開始10分52秒、九州が反撃に出た。九州#4MF上野が右サイドからの力技の1対1で得点を決め、11-2とした。点を決められ慶應は負けじと、開始14分46秒と15分26秒に慶應#40AT関根と#9MF本下がそれぞれ1点ずつ得点を重ね、13-2とした。九州は、これでさらに点差をつけられてしまったが、それでも流れは着実に九州に傾きつつあった。そして開始15分43秒、九州は素早くグラウンドボールをひろいブレークから、このチャンスを確実に決めた。スコアが13-3となり10点差の状態で第3クォーターが終了した。
第4クォーター、第3クォーターの終盤では九州に流れが傾きかけていたが、このクォーターはどうなるのであろうか。まず得点を決めたのは九州であった。開始20秒、九州#3AT内海がバウンドシュートでゴールネットを揺らした。九州はこのゴールで流れに乗った。続くフェイスオフも九州が制し、開始2分、九州#13MF平山が#3内海からのパスを受け、右上から走りこんでランニングシュートを放ち得点を挙げた。さらに、開始7分、九州#18AT森がクリースでパスをもらい、そのままシュートを撃ち得点を挙げた。3点連続で九州が得点しスコアを13-6とした。まさに怒涛の反撃である。慶應は、九州の勢いにのまれまいとして、開始9分30秒、エキストラマンオフェンスのチャンスで慶應#11MF澤野が左サイドからの鋭いシュートでゴールに突きさし、スコアを14-6とした。このゴールで慶應はリズムを取り戻したのか、僅か1分30秒後にも慶應#10AT長が、#40AT関根のフィードをカットインからシュートを華麗に決め、スコアは15-6とした。しかし、九州も負けじと開始13分42秒、九州#16MF里見がランニングシュートで決め、スコアを15-7とし、慶應に食らいつく。対する慶應も点差を突き放すべく開始15分53秒、慶應#4MF川上がトップから1対1と仕掛け、ゴールにシュートをねじ込み得点とした。16-7となり、残り時間も僅かになっていったが、九州にはまだ諦めの様子が見られない。開始16分5秒、九州#16MF里見が得点を決め、最後まで勝利への執念を見せるがついに試合終了のホイッスルが鳴った。
全日本選手権1回戦を突破したのは、16-8で慶應であった。激闘を制した慶應は、次の準決勝戦にて、クラブチームの強豪・RAGGAMUFFINSと激突する。慶應は、この勢いでFINAL進出となるかがとても楽しみだ。
<勝利チームインタビュー>
慶應義塾大学主将・関根幹祐選手
Q:今日の試合を終えての感想は?
A:九州大学がすごく強くった。もっと楽に勝てると思っていた。特にグランドボールやブレークでの攻撃が強かった。
Q:試合前のインタビューで注目して欲しいところとして「グラウンドボール」を挙げていたが達成できたか?
A:60%ぐらいしか拾えていないと思う。目標は70%〜80%なので達成できていない。
Q:次の試合への意気込みは?
A:RAGGAMUFFINSとFALCONSを倒すのは慶應しかないと思っているので絶対勝ちます。
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