第21回関東学生ラクロスリーグ戦準決勝女子第2試合、日本体育大学(以下、日体)対 慶應義塾大学(以下、慶應)が、11月3日文化の日に、大井ふ頭海浜中央公園第二球技場にて行われた。昨年悲願の初優勝を遂げた日体も、今年のスローガンに「結束」を掲げた慶應も、決勝への切符をかけたこの試合に臨む目には、同じ熱いものを宿していた。観客はこの試合を見逃すまいと、肌寒い中、観客席に収まらずに芝生から観戦する人が現れるほど、大勢集まった。
試合開始後すぐ、ドローでのグラウンドボールに双方が食らいつく。日体のファールで慶應ボールとなり、それを#48柴田葉子選手がチャンスに変え、日体ゴールに襲いかかるが、日体#26二村美穂選手の好セーブに阻まれ、そう簡単には先制点を決められない。慶應はミスが重なり、日体はボールを奪い、#34北郷亜弥選手が逆に慶應ゴールを脅かす。しかし、ボールがゴールに吸い込まれることはなく、両チームともに一歩も引かない攻防が続いた。試合開始から18分後、日体のファールにより慶應ボールとなり、主将#22河内由気選手からパスをもらった#56佐藤可奈選手が一人抜いて2対1の状況を作り、シュートを決め、先制点を取った。日体はすぐに反撃の糸口を探り、#1大久保敦子選手に堅く守られたゴールへ#5豊田恵理子選手がボールをねじ込んだ。1対1で同点となり流れを作りたかった日体だったが、自らのファールにより慶應にボールを渡し、攻撃を招いてしまった。しかし、慶應は点につなげることができず、逆に日体ボールとなりゴール前を死守したいときにフリースペールトゥーゴールの侵害により、#14北郷亜弥選手にフリーシュートを許し、それが日体の2点目となり、日体観客席を沸かせた。その後も慶應のファールが続き、2対1で日体リードのまま前半が終了した。
後半は慶應がドローを制した。ゴール前での日体にとって痛いファールにより、センターハッシュからの#56佐藤可奈選手のフリーシュートとなるが、そのチャンスを活かすことができない。そして、またもや慶應はファールを繰り返して上手く攻めきれない。ボールを日体は手放さず、早いボール回しでパスをもらった#15杉本美歩選手は、右から1対1で鮮やかなシュートを決めた。後半開始後5分が経たずして日体は慶應を突き放しにかかった。しかし、日体自身のミスにより慶應がボールを奪い、キープする。そこに日体のファールが重なり、フリーシュートで#48柴田葉子選手がゴーリーを動かしてコースをつくりシュートを決め、3対2と点差をつめる。日体は更なる点差を開こうと、ボールをキープして攻めの体制に入り、ややDFも上がりぎみであった。すると、それが仇となったのか、#48柴田葉子選手がグランドボールから1人抜くとゴーリー以外にゴールを阻むものがいないではないか。一気に日体ゴールに向かって攻め込み、観客総立ちとなるシュートを決めた。これで慶應は流れをつかんだ。次のドローから速攻で#56佐藤可奈選手がシュートを決めるも、日体のファールによるホイッスルに阻まれノーゴールに。フリーシュートは惜しくもゴールの外へ。しかし、ラスト7分のところで、慶應#56佐藤可奈選手が、落ち着いてこの試合の決定点となるシュートを決めた。日体も慶應もファールにより攻守の入れ替わりが激しくなる。ラストは日体の選手が退場となるアクシデントもあったが、慶應がボールをキープし、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
両チームの観客席が歓声にわき、スタンディングオベーションで選手たちの活躍に拍手を送っていた。慶應の選手は決勝で戦えることを抱き合い喜び、日体の選手はその場に崩れ落ちたまま動かない。それでも立ち上がり、挨拶した日体の選手の目には涙があふれていた。こうして、決勝に進む2校が決定した。
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