関東学生ラクロスリーグ戦、20周年を締めくくる最後の試合が11月23日、寒い秋空の中、駒沢第二球技場にて始まった。
第一クォーター)
第一クォーター開始、慶應義塾大学(以下、慶應)がフェイスオフ後のグラウンドボールを拾い、先制権をものにする。落ち着いたパス回しから#12関根幹祐が1対1を仕掛ける。ディフェンスを抜き去り、潰そうと飛び出してきたスライドのチェックが頭に入りながらも耐え、ゴール横に待ち構えていた#10長雅之へフィード。これを落ちついて決め、先制する。負けじと日本体育大学(以下、日体)、この直後のフェイスオフを勝ち取り、日体#9早舩得高が慶應ディフェンスの中へ単独で切れ込みシュートを放つ。これがゴールを割り、同点となる。この決勝戦に対する両雄の得点であった。その後、慶應がボールを持ち、確実に一点を決める為パスをゆっくりとまわし、慶應ポゼッションが長く続く。フィードミスをしても、確実にフォローし、日体のクリアもライドできっちり潰し、相手にポゼッションを渡さない。そして、トップから1対1を仕掛け、ゴール横にいる#9継渉にフィードを出し、シュートを決める。この得点によって、日体は焦りだし、ポゼッションを取るものの、崩れていない段階でシュートを放ち、ゴーリーセーブされ落ち着かせることが出来ない。慶應のポゼッションが続く中、#22倉本正幸が裏から#10長へ厳しいフィードを通し、鮮やかに決め、1-3とする。そして#22倉本が1対1をしかけ、潰しにきたスライドを抜き、得点し、1-4で終始慶應リードのまま第一クオーターを終了した。
第二クォーター)
第二クォーター開始直後から両校ファウルが続出し、たびたびマンダウンの状況に見舞われるも、慶應ゴーリー#1岩本海介のパスカットなど気迫のディフェンスによって、相手にチャンスを与えない。日体、何とか一点をとり、差を縮めようと無理に中へフィード出すが通らない。しかし、そのフィードミスから発生したグラウンドボールを強引にゴールへ#49田中聡が押し込み、点差を縮める。ここで日体は流れにのり、果敢に攻め込むが、慶應ゴーリー#1岩本のセーブに阻まれゴールを割ることが出来ない。そのセーブからポゼッションを得た慶應は、#42市村賢がトップから1対1を仕掛けバウンドシュートを放つ。これがゴール隅に鮮やかに決まり、慶應三点差のリードは以前縮まらないままだ。しかし、ここから日体の怒涛の反撃の始まりだった。慶應、ここでゾーンディフェンスに切り替え硬く守ろうとするが、#9早舩がゾーンとゾーンの隙間からシュートを放ち、得点。守りに入ろうとしたのがいけなかったのか、ここから日体ペースで試合は進む。ゾーンを解いた慶應に対し、日体は流れの中からミディー#10熊谷達郎がゴール裏でボールを貰い、インバートの形で得点を決め、4-5と一点差まで迫ったところで、第二クォーターが終了する。
第三クォーター)
第三クォーター開始6分、慶應がスラッシングのファウルを犯し、日体60秒間のエキストラマンオフェンスを迎える。これを、#3佐々木慎也がシュートを放ち、このチャンスをモノにし、勝負を振り出しに戻した。しかし、得点をされ続けて黙っていないのが慶應だ。ディフェンスのパスカットからブレイクをつくり、#59島川素が得点し、再び慶應がリードする。このまま追加点が欲しい慶應であったが、クリースバイオレーションを犯してしまい、日体、再びエキストラマンオフェンスのチャンスを得る。パス回しの中から、中へ細かいフィードを出し、ゴーリーと1対1となるが、これを慶應ゴーリー#2岩本が決定的場面で好セーブし、窮地を救った。しかし、日体の攻めは止まず、トップから#9早舩が切れ込み、得点。再び6-6と同点にした。日体の流れのまま、試合は続く。そして、#4藤原智大が高い位置から逆側のサイドへ大きくボールをもったまま走りこみ、ランニングシュートで得点。スコア7-6。日体が、この試合で初めて逆転した瞬間だった。
第四クォーター)
日体はリード守るため、慶應は得点を取るため、両者決死の攻防が続く。慶應は1対1で日体ディフェンスを崩そうとするが、硬く堅実に守るディフェンスを崩すことが出来ずにいた。逆に日体は、裏からのフィードを狙い、決定的な場面を作り出すも、ゴールを割れずにいた。ターンオーバーが続き、めまぐるしく、オフェンスとディフェンスが切り替わる。ラスト4分。日体、守りに出たか、ゾーンディフェンスを敷き、時間を稼ごうとするが、慶應#91木下純によって、ゾーンを破られ、再び同点となる。試合終了まで、3分を切った。しかし、ここで慶應が痛恨のスラッシングを犯してしまう。1分という長い時間が慶應に待ち構えていた。日体がシュートを放つ中、慶應ディフェンスがシュートを先読みをし、チェイスを取る。しかし、このクリアでオフサイドを犯してしまい、再び日体ボールとなった。ラスト30秒、日体がタイムアウトを取り、試合が再開した。そして、日体#35野口哲男が、1対1を仕掛け、慶應ゴールを揺らし、ラスト10秒、決勝点を決めた。だが、ここで慶應のクロスチェックの要請が入る。審判がフィールド中央でクロスを調べる中、全ての観客は固唾を呑んで見つめていた。審議が終わった瞬間、宙にフラッグが舞った。日体のクロスがイリーガルクロスとみなされ、得点は無効となり、3分間のマンダウンをペナルティーとして受ける事となった。そして、第四クォーターが終了。試合はサドンビクトリーへと持ち越された。
サドンビクトリー)
慶應ポゼッションのままクォーターが終了したため、慶應ボールからサドンビクトリーは始まった。日体は約3分間を、5人のまま守らなければならなかった。慶應の怒涛のシュートの嵐の中、日体ゴーリー、#2押田昆大のセーブが冴え、ゴールを割らせない。日体も逆にブレイクを作るが、慶應ゴーリー、#1岩本によって阻まれる。押田、岩本の好セーブが続き、試合は第4ピリオドまで、持ち越された。
そして、混戦の中グラウンドボールが発生し、それを拾った日体がひとつ、ふたつパスを繋ぎ、ディフェンスが崩れかけたところから#14土屋陽祐がシュート。その瞬間、ホイッスルが鳴った。
リーグ戦の決勝に相応しく、拮抗した展開が続き、観客全てを試合の中に巻き込んだリーグ戦最後の試合は、日本体育大学が優勝し、幕を閉じた。20周年という学生ラクロスの節目を飾った両校の雄姿は、全てのラクロスプレイヤーの目に焼きついているだろう。 |