12月9日(日) 、気温は低いが日差しが激しく選手たちを照りつける中、第18回ラクロス全日本選手権・東京大会準決勝、日本体育大学(以下、日体) 対RAGGAMUFFINSと呼ばれる東日本ラクロスクラブ(以下、ラガマフィンズ) が、江戸川区臨海球技場で行われた。
日体は昨日の一回戦において、着実なオフェンスとゴーリー#1二畠を中心とした固いディフェンスで、北海道大学を下している。一方、ラガマフィンズは、慶應義塾大学を接戦の末に敗って勢いに乗っている。どちらのチームにも弱点がほとんどないように感じるため、この試合も接戦が予想される。両者共に初優勝に向けて絶対に落とせない一戦が、今始まった。
第一クオーター、さっそく試合が動く。フェイスオフはラガマフィンズが制し、迷いなどなくすぐさまゴールへと向かう。まさにラガマフィンズがスローガンとしている「圧倒」がさっそく形に出た。#3村松選手が1対1から内へと切り込んで先制点を叩き出す。しかし、その直後のフェイスオフでは日体が制し、オフェンスのリズムを作り、じわじわとゴールを狙う。そして、#10熊谷選手が1対1からゴール上部を狙うシュートで同点とする。早くも意地のぶつかり合いが展開される。ラガマフィンズ#3村松選手が1対1を仕掛けて、ゴール横にいた#34岡田選手へとパスが繋ぎシュートを決めて2点目を挙げる。日体#89大伴選手は、1対1からジャンピングシュートを決め、再び同点とする。さらに、#3佐々木選手がトップからアンダーシュートが華麗に決めて3点とし、逆転に成功する。その後にラガマフィンズはタイムアウトを入れるも、流れは依然として日体のペースが続く。トップから日体#9早舩選手がジャンピングシュートを決めて4点目を挙げ、#49田中選手がゴール裏から回りこんでシュートを決めて5点目とする。ラガマフィンズもシュートまではボールを運んでいくものの、ゴールを突き刺すことができない。ここで第一クオーターが終わった。点差は3点となっているが、それ以上に日体のフィジカル面の強さを要所に感じることができた。
第二クオーター、最初のフェイスオフは日体が制するもライン外へと出してしまい、ラガマフィンズボールへと回る。このチャンスを生かすのがラガマフィンズの強さだろうか。#4小林選手が日体のディフェンスに耐え、中に切り込んできた#3村松選手にパスが上手く回りシュートが決まり3点目を挙げる。さらに#41及川選手も決めてジワジワと点差を縮めていく。そして、ついにこの時が来た。#4小林選手がゴール横からディフェンス
2枚を掻い潜ってシュートを決めて同点とした。しかし、日体も#14土屋選手がゴール裏から回りこんでシュートを決めて、すぐさま逆転に成功する。さらに、エキストラマンオフェンスのチャンスを生かして、#9早舩選手がビームシュートを撃ち、7点目を挙げる。またしてもエキストラマンオフェンスのチャンスに、#10熊谷選手も角度を突いたシュートを決めて8点目を挙げた。ここで第二クオーターが終了した。
一時は同点まで詰め寄られたが、日体がエキストラマンオフェンスのチャンスを我のものとし、第二クオーターが終わった時点でもリードを奪うことに成功した。勢いは日体に来ているが、昨日の試合では後半に多く点を入れられていたため気がかりだ。最後まで集中力を持続させることができるかが注目である。一方、ラガマフィンズにとって3点は逆転するにはまだまだ射程範囲内であろう。後半での巻き返しに期待したい。
第三クオーター、日体の勢いは止まらない。#14土屋選手から#8大川選手へとパスが繋ぎ、そこからバックハンドによる芸術的なシュートを決めて9点目とした。このシュートに観客の多くが騒然とした。ここからさらに得点を積み重ねるかと思われたが、逆にラガマフィンズが圧倒の集中力を魅せ付けた。#3村松選手がクリース付近でロールを交わしシュートを決めて6点目、さらに#22荒川選手、#3村松選手が連続得点を決めて、1点差まで詰め寄る。この3得点によって流れがラガマフィンズに向いてきたように思えたが、日体も負けてはいない。#89大伴選手が1対1を狙い、#9早舩選手へとパスが回りそれを決めて10点目とする。一方、ラガマフィンズは#42横田選手が1対1からディフェンスを崩し、シュートを撃って9点目を挙げる。予想通り息を抜けないほどの接戦が展開される中、第三クオーターが終わった。10-9、点差は一点だ。どっちに勝利の栄冠を手にするのだろうか。男女共にアベック優勝を狙う日体か、社会人としての意地とプライドを見せ付けたいラガマフィンズか、運命の20分が幕を開けた。
第四クオーター。第三クオーター終了間際で、日体がファールを犯したためにラガマフィンズのエキストラマンオフェンスから始まった。このチャンスを生かしたいラガマフィンズ、積極的なシュートで日体ゴールを襲う。その勢いで#51矢原選手が1対1でディフェンスをかわし、10点目となるシュートを撃つ。さらに、#15堀川選手がトップから1対1を仕掛けて、逆サイドにいた#4小林選手へとパスが繋がり11点目となるシュートを決めて、ついにラガマフィンズが逆転に持ち込んだ。この後も日体は攻め込むも、ラガマフィンズのゴーリー#52宇田川選手の好セーブによって点を許さない。日体に流れを持っていかせまいという熱い闘志がみなぎっていた。しかし、ラガマフィンズの一瞬の気の緩みだろうか、痛恨のオフサイドをしてしまう。ここから日体が素早いリスタートから#26福沢選手が決めて同点とする。日体の底力というのだろうか、勝ちたいという意識がラガマフィンズを上回ったのだろうか、この得点で同点とし第四クオーターが終わった。
ここからサドンデスビクトリーへと突入した。日体のホールディングによってラガマフィンズのエキストラマンオフェンスとなるも、堅いディフェンス陣によって得点を許さない。しかし、決着の時が来た。ラガマフィンズは素早いパス回しを展開させたところで、トップに出てきた#7青山選手が決勝点となるシュートを撃ち込み、延長戦にもつれる大接戦の試合が幕を閉じた。青山選手は現在3部に属している明星大学の出身だ。事前に聞いたアンケートでは、「3部出身者でもこの舞台に立てるということを証明し、ラクロスをしている学生に魅力と可能性を伝えたい。」と言っていた。まさに有限実行ということであろうか、延長戦にピリオドを打つ素晴らしい活躍で観戦に来ていた学生には心に響くものがあったのではないだろうか。
ゴールが決まった瞬間、ラガマフィンズはベンチもフィールドにいた選手も一体となって歓喜に包まれていた。一方、日体は紙一重の差で敗れてしまったが、観客席からは温かな拍手が送られ、私も拍手をせずにはいられなかった。この準決勝まで勝ち進んできたことを誇りに思って、次の世代へと繋いでほしい。きっと来年も関東学生リーグ、全日本選手権の注目の的になるであろう。激闘を制したラガマフィンズは来週16日に江戸川区陸上競技場にて昨年の覇者、VALENTIAと激突する。この勢いで初優勝となるかがとても楽しみだ。
<勝利チームインタビュー>
干鯛武志 選手(主将兼コーチ)
試合を終えて:やっとこの舞台(決勝)に立てたのは仲間を信じてこられた結果だと思う。
この勢いで決勝も勝ちたい。
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