Go To TOPPAGE 第18回ラクロス全日本選手権

第18回ラクロス全日本選手権大会第18回ラクロス全日本選手権大会

日時:2007年12月8日(土) 11:00試合開始
場所:東京・江戸川区臨海球技場

男子1回戦 慶應義塾大学(関東学生2位) vs 東日本ラクロスクラブ(クラブ2位)

慶應vsラガマフィンズ 慶應vsラガマフィンズ

ゲームレポート

 2007年12月8日、晴天にも恵まれさわやかな風が吹く、江戸川区臨海球技場で第18回ラクロス全日本選手権大会の第一回戦第一試合、慶應義塾大学(以下、慶應)対RAGGMUFFINSと呼ばれる東日本ラクロスクラブ(以下、ラガマフィンズ)が行われた。慶應は関東学生リーグ戦の決勝戦で延長戦にもつれる大接戦の末、惜しくも日本体育大学に敗れ、準優勝という結果に終わってしまった。一方、ラガマフィンズは全日本クラブ選手権の決勝戦において、VARENTIAに8-11で敗れ準優勝に終わっている。共に優勝を目前にして逃しているだけに、今回の一回戦における気合いも格別なものであろう。今回の敗戦をいかに自分たちのバネにし、この舞台で最高のパフォーマンスができるかが見物である。

慶應vsラガマフィンズ 慶應vsラガマフィンズ

 第一クオーター、フェイスオフ直後、早速ラガマフィンズが制し試合の主導権を握る。#9神津選手がゴール横から内に入り込み、ゴールの左下を狙う絶妙なシュートで1点目を先制する。その後のフェイスオフ以降は、グラウンドボールによる混戦状態が続くも、慶應がオフェンスへと流れを引き寄せた。流れるようなパス回しから#22荒川選手から#9継選手へとパスが繋ぎ、裏から走り込みシュートを決めて直ぐさま同点へと持ち込む。しばらく混戦状態が続くも、ラガマフィンズ#3村松選手がゴール左へとコースをついたシュートで2点目を挙げる。しかし、慶應はそれにも動じない。オフェンスにボールを回し、ラガマフィンズのディフェンスを掻き回し、#9継選手がゴール裏からクリース付近まで回り込んでシュートを決め、同点になる2点目のシュートを入れる。さらに相手のタイムアウトを挟み慶應がブレークへと繋げ、#23内海がそのままゴールへと走り、ロングスティックから繰り出す豪快なゴールで慶應が逆転に成功する。さらにラガマフィンズのパスミスから、慶應#12関根選手から#10長選手へのパスで4点目のシュートを撃ち込んだ。その後、グラウンドボールの混戦へとなるも再び慶應が攻め続ける。#11澤野選手が左上から1対1をかけ、ランニングショットを決めて5点目を決める。3点差とし、流れを一気に引き寄せたかにみえた。これ以上点差を広げるわけにはいかないラガマフィンズは、#3村松選手がパスを伺い、#4小林選手がスペースを狙いパスを受け取り、そのまま中へ押し込んで3点目を挙げる。直後のフェイスオフは慶應が制すも、ラガマフィンズが奪い取り、#88鈴木選手がシュートを放つも惜しくも得点にはならなかった。結局5-3で慶應が2点リードで第一クオーターを終えた。スコアとしては慶應がリードしているが、ラガマフィンズもシュートを撃ち込み、流れは着実に引き寄せている。点が決められそうで決められないラガマフィンズは次の第二クオーター以降いかにして、このはがゆい状態を変えていけるかが注目である。

慶應vsラガマフィンズ 慶應vsラガマフィンズ

 第二クオーター、開始一分にしてさっそく試合が動く。ラガマフィンズ#9神津選手がこの日2得点目となるシュートを決め、1点差へと詰め寄る。その後もラガマフィンズのオフェンスが続くも、慶應のゴーリー#1岩本選手の好セーブによって追加点を許さない。さらに、パスミスによって慶應のボールとなり、このワンチャンスを見逃さなかった。慶應#22倉本選手のゴール横からのフィードから#10長選手が決めて6点目を決める。再び点差が開くも、ラガマフィンズの集中力は切れていなかった。パスを繋ぎ、#3村松選手がシュートを決めて5点目を入れる。さらにその数十秒後には、#4小林選手が1対1から6点目を決めてついに同点の振り出しへとスコアを戻した。しかし、こういったシーソーゲームは学生リーグ戦の決勝の舞台でも経験している慶應に焦りの色は見えなかった。#18山下選手がディフェンスの裏をついて、#22倉本選手のゴール裏からのフィードを受け、ラガマフィンズのゴールへとシュートを突き刺し7点目を挙げた。さらに#42市村選手が1対1からのランニングシュートで8点目を挙げる。少し前にラガマフィンズが見せたような集中的なオフェンスで一気に2点を奪い、再び慶應がリードし第2クオーターを終えた。シュート数を見てみると、明らかにラガマフィンズの数が多い。しかし、そんなシュートチャンスも慶應のゴーリー#1岩本選手とディフェンス陣の前に、シュート数に反して得点を多く挙げられなかった。一方、慶應はシュート数が少ないものの、2クオーターだけで3点を挙げている。いかに慶應の決定率が高いかを物語っている。しかし、ラガマフィンズはシュート数が多いということはそれだけ慶應ディフェンスを揺さぶっていることになる、次の第三クオーターではラガマフィンズのオフェンスに対していかに慶應ディフェンスが耐えて自分たちのペースを維持できるのであろうか。雲が多くなってきて肌寒い中、後半戦が始まった。

慶應vsラガマフィンズ 慶應vsラガマフィンズ

 第三クオーター、しばらく第二クオーター同様にシュート数は多いものの、得点を挙げられずにいたラガマフィンズではあったが、試合が動いたのは始まって5分後であった。慶應#11澤野選手のプッシングによってラガマフィンズのエキストラオフェンスとなった。ラガマフィンズ#4小林選手から#42横田選手にパスが回り、その直後にフェイクを入れゴール下へ吸い込まれるようなシュートを決めて7点目を挙げる。またしてもラガマフィンズのオフェンスが続くも、慶應はクリアからチャンスメイクをする。#22倉本選手がボールをキープし、そのままゴール裏からクリースへと回り込みシュートを撃ち9点目を挙げる。しかし、慶應#52山口選手のホールディングによって、またしてもラガマフィンズのエキストラマンオフェンスとなる。早いボール回しから#34岡田選手のパスを#4小林選手がトップからシュートを慶應ゴールに突き刺し、8点目を挙げる。さらに小林選手の活躍は続く。小林選手はグラウンドボールからすぐさまフリーの#3村松選手がパスを受け取ってシュートで9点目を挙げ、同点とする。同点とされるも慶應はその後もオフェンスへと流れを持ち込むものの、ラガマフィンズのディフェンスからの強烈なプレッシャーとゴーリー#52宇田川選手の好セーブに阻まれていた。再逆転へと繋ぎたい最中、第三クオーター終了間際、慶應#9継選手が裏から1対1を仕掛け、そこから#91本下選手へのフィードへと繋ぎ得点を決め、二桁代の10点目を挙げる。ここで第三クオーターが終了した。9-10で慶應が一点リードで、第一クオーターから全てリードを持ったままクオーターを終わらせていて、慶應にとってはこの流れで逃げ切りたいところだ。一方、ラガマフィンズは、残りの時間で相手のパスミスなどのワンチャンスをすぐさま得点へと繋げられる集中力の持続をチーム全体でできるかが、残りの一クオーターの運命を左右しているように感じた。常に接戦である締まったスコアが続き、まるで決勝戦のような一瞬たりとも見逃せない状態が続いている。両チームの応援団は食い入るようにしてフィールドにいる選手を見つめていた。ついに第四クオーター、最後に笑うのはどっちだ。

慶應vsラガマフィンズ 慶應vsラガマフィンズ

 第四クオーター、最初のフェイスオフは慶應が奪い、流れを作った。パスを回し#9継選手がゴール裏から横へと切り込んで11点目を挙げる。しばらくお互いシュートを撃ち合うも得点を挙げられなかったが、グラウンドボールの混戦からラガマフィンズがブレークへと繋いで#9神津選手がシュートを決めて10点目を挙げた。時間が半分に差し掛かったあたりでラガマフィンズはタイムアウトで一呼吸を入れて集中を高めた。これが効いたのだろうか、#9神津選手が対角へとパスを的確なパスを出してそれを#4小林選手が決めて11点目を挙げ再び同点とした。さらにその直後もラガマフィンズが制し、ゴール裏の#3村松選手からクリースへと切り込んできた#22荒川選手がこの試合初得点を挙げて12点目として逆転に成功する。ラガマフィンズにとっては貴重な1点となった。ここで引き下がれない慶應は、積極的にシュートを撃つも決まらず、さらにパスミスも出てしまい、焦りの色が見え始めていた。しかし、試合終了3分前となったところでラガマフィンズの#15堀川選手と#44文堂選手が立て続けにファールをしてしまい、慶應のエキストラマンオフェンスとなった。ここで同点、さらには逆転へといかなければいけなかったが、やはり焦りからか有利な状態でありながらもボールをライン外へと出してしまい決定的なチャンスを逃してしまった。ここで試合終了のホイッスルが鳴った。12-11で接戦の末、ラガマフィンズが見事準決勝へと駒を進めた。

慶應vsラガマフィンズ 慶應vsラガマフィンズ

 試合終了の瞬間、慶應の選手たちは呆然とし、エール交換をするのもやっとというくらいであった。観客席へと挨拶にいった時には選手の顔には光るものがあり、この試合に掛ける思いの大きさを選手たちの目の前にして、感じることができた。ラクロス界のパイオニアとして常に勝つことを求められこだわり続けてきた慶應にとって一回戦での敗退は不甲斐ない思いでいっぱいであったと思う。しかし今回の試合を観て、少ないシュート数でも確実に得点とし、さらに点を取られては取り返すといった試合展開をして、とても競った好ゲームであり素晴らしかった。クラブチームを相手にこれだけの試合ができるのは、同じ学生として羨ましい限りであるのと同時に、彼らに少しずつでも近づいていきたいと私自身、心から感じた。きっと来年もこの舞台へと進み、全日優勝へと突き進んでもらいたい。一方、ラガマフィンズは初の全日本選手権優勝へと一歩近づいた。近年VARENTIAが優勝を何度か続けているだけにクラブチームとして新たな歴史を刻めるか明日の準決勝も期待したい。

慶應vsラガマフィンズ 慶應vsラガマフィンズ

<勝利チーム(ラガマフィンズ)インタビュー>

 質問)
   Q1) 試合を振り返ってみての感想?
   Q2) 勝因は?
   Q3) 対戦相手の印象は?
   Q4) 明日への意気込みは?

・MF #21 干鯛武志選手(主将兼コーチ)
 A1) 厳しい試合になることは予想していたので、試合を制することができて嬉しい。
 A2) グラウンドに出ている人が、1点差、2点差の時にどうプレーすればいいのかを理解していたから。
    また、厳しい試合になることが分かっていたから負けている時も焦らずプレーできたこと。
 A3) 手ごわい相手だから慶應とはやりたくない。
 A4) 日本一になるために明日も勝つ。

・MF #9 神津崇選手
 A1) 慶應出身だからモチベーションを上げるのに苦労した。昔の仲間と対戦できたのが楽しかった。
    そして、ラクロスを楽しめた。
 A2) 個々の力が上回っていた。
 A3) チームとしてまとまったラクロスをしていた。チームで勝ちにいくというのを感じ、
    一体感があった。
 A4) 決勝で対戦が予想されるVARENTIAとの戦いを楽しみにしている。

 

Report:鈴木拓海(玉川大学)
Photo:日本ラクロス協会広報部「.Relax」編集部・小城崇史

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