雲に覆われた鶴見緑地球技場。第16回ラクロス全日本選手権大会準決勝、この曇り空の中勝利の女神はどちらにほほえむのか。7連覇の記録を持つ実力クラブチームWISTERIA(以下、WIS)対関西制覇を果たし、昨年同チームに敗れ、屈辱を晴らしたい武庫川女子大学(以下、武庫女)の試合が行われた。
ドローを制したのはWIS。武庫女G#73菱井のインターセプトかと思いきや、ゴール前のこぼれ球をWIS#39辻がフリーのゴールに押し込み1-0。つづいて、WIS#96菅原が追加点を決め、2-0。その直後、武庫女#35和田が裏からの1対1に見せかけ、ゴール前#32盛林にアシストし2-1。さらに15分、ライドでWISのミスを誘い確実にマイボールの時間を増やし、2-2と追いつく。そのまま武庫女はマンツーマンディフェンスからゾーンディフェンスに切り替え、流れを掴む。22分、武庫女G#73菱井の好セーブからの速攻で#72松浦がシュートを決め2-3と逆転し、リードを奪ったまま前半を折り返す。
後半5分、WIS#96菅原、武庫女#42岸本が互いにフリーシュートを決め3-4とし、取っては取られの展開が続く。両者一歩も譲らず5-5とさらに得点を重ねてゆく。21分武庫女#35和田、得意のゴール裏左下からの1対1で2人のDFを華麗に抜き、5-6。その後WIS#39辻のフリーシュートが決まったかのように見えたが、ノーゴールと判定され、抗議をする場面も見られる。武庫女#35和田にボールが渡ると観客は一挙一動に釘付けになる。その和田がラスト1分、焦りの見えるWISに対し確実に点を重ね2点リードとする。赤旗があがり会場が騒然とする中、WIS#39辻が執念のフリーシュートをものにし6-7と詰め寄る。ここでなんとしても点を返したいWISに対し、守り抜きたい武庫女。両チーム激しい当りで勝利への執着心をむき出しにする。ここで運命のホイッスル。武庫女が悲願の全日本選手権決勝へと初進出を果たした。
歓喜に沸きあがる武庫女。呆然と立ちすくむWIS。1点が大きく明暗を分け、重みを感じさせる試合であった。実力はほぼ互角だったが、地元関西の声援を力に変えた武庫女が昨年の王者WISを抑え、関西学生ラクロスの新たな歴史の1ページを切り開いた。12月18日に江戸川陸上競技場で行われる決勝戦でも、長年の夢である「日本一」を果たすためにさらなる飛躍を期待したい。
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