12月13日土曜日。前日の雨によりグラウンド状態が悪い。今年、圧倒的な身体能力の高さで他大学を圧倒してきた「日本体育大学(以下日体)」と、本大会4連覇を成し遂げ、今大会において5連覇を狙う「VALENTIA」。全日本選手権は今年も一回戦から見逃せないカードとなった。
1Q
15時Face Off。
VALENTIAがポゼッションを奪い、開始早々30秒で#1相澤が右横から相手ディフェンスをずらし、いとも簡単に得点を挙げる。続いてVALENTIA#43丸山(伸)が裏からのフィードを合わせ、中に切り込んでのシュート。さらに左裏のVALENTIA#6村松からの素早いパスは、対角の#47末木に通り、きれいなビームシュートを決め、3-0。開始4分の怒涛の攻めは、VALENTIAがグラウンドボールを制し、ポゼッションを失わなかったことが一因であったと考えられる。的確な位置にかき出してからもう1人が拾うという形が徹底されていた。VALENTIAのタイムアウト後、日体初めてチャンスとなるオフェンス。しかし日体はターンオーバーを食らい、速いパスでつないだVALENTIAは#1相澤が得点を決めた。とにかくポゼッションが欲しい日体は、#20古宇田がクリアするなど見せ場を作った。それに対し、VALENTIAも積極的なディフェンスを展開し、一瞬の隙を突いてDF#27四家が相手につめて落とし、ボールを奪うなどした。VALENTIAベンチが沸く。その後も早い展開でVALENTIAがクリア。至近で打ったシュートを日体G#12松村が見事にセーブしたが、空中にあるボールをVALENTIA#9岡部が叩き込み、ここで5-0。この後VALENTIAのファウルが目立ち始め、日体はエキストラマンオフェンスをもぎ取るも、なかなか厚いディフェンスが破れない。また日体のクリアをVALENTIA#47末木がパスカット、さらに日体クリアラーを#9岡部#47末木が二人で挟むなど、ライドの強さも見せた。そしてポゼッションを奪うとVALENTIA#43丸山(伸)がシュート。クオーター終了後のゴールのためノーゴールであったが、次クオーターを勢いづけるシュートであった。
2Q
開始早々VALENTIA#27四家がロングながらもシュート打ち、会場は盛り上がった。そしてVALENTIA#8島袋は太陽をバックにシュート。Gの視界の悪さも利用して得点を上げた。しかしこの後日体のオフェンス。だんだんとVALENTIAのゾーンディフェンスが低くなり、ここで日体のシュートの本数が増える。異変に気づいたVALENTIA、今試合2回目のタイムアウト。ここで修正し、再度積極的なディフェンスを見せた。またここでVALENTIAのG#13篠原が決定的な場面でのシュートを止め、クリアに成功すると#9岡部がミドルからの見事なハイバウンドシュートを決めた。ここで7-0。クオーターが10分経過すると、どちらのゾーンディフェンスも噛み合い、相手に付け入る隙を与えない。両ゴーリーも的確な指示を送りディフェンスを統制している。この沈黙を破ったのはVALENTIA。15分が経過した頃、#8島袋がグラウンドボールを制し、すぐさま#5山中にパス。そのファーストブレイクを#1相澤が見事に決めた。ここで8-0。相澤はハットトリックを達成した。ラスト3分で日体のタイムアウト。その後積極的に攻め、フィジカルの強さを遺憾なく発揮する日体。相手のファウルを誘うとエキストラマンオフェンスで#7小林、#4山崎が続けざまに怒涛のシュートを放つ。しかし得点は動かぬまま、ハーフとなった。このクオーターにおいては特にVALENTIAのパスの速さ、日体の足の速さが目立った。
3Q
VALENTIAの選手のクロスがランダムチェックで引っかかり、日体にエキストラマンオフェンス3分というチャンスを与えられる。そしてそのチャンスを開始18秒、日体#7小林がものにする。8-1。日体念願の得点。応援も盛り上がってきた。その良い雰囲気の中、日体DF#24舘野がナイスチェックを入れ、VALENTIAに好きにオフェンスをさせない。しかしVALENTIAは淡々とキープし続け、時間稼ぎに我慢できなくなったのか日体DF痛恨のファウル。ペナルティ2分。この時点でVALENTIAのペナルティは1分半。逆にピンチとなる日体。しかし双方共に素晴らしいディフェンスでゴールはならなかった。このあたりから日体のパス回しが的確になり、VALENTIAゴールを脅かす。9分が経過した頃未だ日体ボール。右上の#3川本から右クリース前の#10後町にパスが通り、ゴールを割る。8-2。このクオーターになり日体のポゼッション時間の長さが目立つ。グラウンドボールの寄りも良く、ここに来てゲームを支配している印象すらあるほどであった。しかしこうしたVALENTIAの長い沈黙を破ったのは#17大江。鋭い1on1で相手デンジャーゾーンに切れ込みシュート。9-2と日体を突き放した。その活躍に感化されたのか、VALENTIA#43丸山(伸)、続いて#27四家はナイスマンで相手クリアを阻止した。そして3クオーターが終了した。
4Q
16時20分が過ぎた。日も落ち寒さが増してきた。グラウンドの照明も付き、臨海のシンボルである巨大な観覧車にも灯がともった。そして、Face
Off。開始早々日体#19高野が気合いのこもったクリアを見せる。点差は開いているがまだまだ諦めていない。気迫のオフェンス。しかしVALENTIAも負けていない。隙を突いたVALENTIA#24日笠のチェックでポゼッションを奪うと速いパス捌きで#43丸山(伸)に渡り、10-2。しかし、日体#20の執念のグラウンドボールは、さらにファウルを誘いエキストラを得るなど互角の勝負を見せる。双方ライドが機能しグラウンドボールの取り合いとなった。そして日体のチャンスとなると#3川本が渾身のバウンドシュート。開始後10分が経過し得点は10-3となった。ここで日体のタイムアウト。その後もタイムアウトでの指示が行き届いているのか、チェイスを全て取り日体オフェンスが続く。しかしパスミスをしてしまうとVALENTIAは隙を突いて素早いクリアをし、#16丸山(克)がゴール前でスクープし、直後ゴーリーの頭上からジャンプシュートで決めた。11-3。残り6分。この時間帯、ポゼッションは明らかに日体が持っている。そしてファウルも誘っている。しかし、VALENTIAは落ち着いて隙を狙い、#6村松が得点を挙げる。12-3。残り2分。その1分後、裏からのフィードに合わせ全力疾走する#6村松がスピードを落とすことなくランニングシュートを決める。連続得点で13-3。ラスト1分。日体#10が積極的に1on1をかけていく。そしてファウルを得るも同時ファウルとなりチャンスにはならない。最後までパスを回しVALENTIAの隙を窺う日体。しかし非情にも終了のホイッスルが鳴り、試合はVALENTIAの勝利という形で幕を閉じた。
<キャプテンのコメント>
VALENTIA#47末木信丈選手
「試合内容はあまりよくなかったです。ミスが多かった。特にシュートが入りませんでした。完成度としてはまだまだです。しかしディフェンスはよかったし、いい方向に向かっているのは事実。自分たちの思い描くラクロスをこれからも追及していきます。」
日本体育大学#12松村繁文選手
「コメントすることは特に無いです。負けてしまいました。」
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