ジャパンを探る

1998年5月16日、日本代表チーム練習レポート

 メリーランド州ボルチモア。ラクロスをしていなければ、どこにあるかも分から
ない地名だ。しかし、今年そのボルチモアで、男子ラクロスのワールドカップが開
催される。
 そしてそこでの活躍が期待されている日本代表だが、その代表選手たちが、どん
な練習メニューをこなし、そんな意識の持ち方でラクロスに取り組んでいるのかを
探ってみた。
 5月16日は大井埠頭中央海浜公園第二球技場で行われた公開練習のメニューを
一つ例にしてみると、まず驚くことにチームの練習を二時間しか行っていない。そ
の理由は短い時間に選手を集中させ、内容の濃い練習をするためだ。
 そこで内容の方をみてみると、まずアップは基本的に実際の動きを想定して、防
具はフル装備で行う。
 6on6はディフェンスを重視したもので、オフェンスはフリーオフェンスだった。
ディフェンスはまずポジショニングや崩れた状況においてのデンジャラスゾーンの
守り方。途中ポジションの確認のため、ベストの状態を指摘していた。コーチ陣が
気にしていた点は、ボールが、ゴール裏からトップの出た時のポジショニングだっ
た。見ていて気が付いた点は、ワンサイドカットやクロスを両手で持つなど基本的
なことを徹底して行っていたことだ。
 次にフルフィールドのスクリメッジでは、アタックがベストの状況を判断する。
ボールを持っていないミディは、周りをみて動く。ディフェンスは早目のポジショ
ニング。全体的には、常に前を見てプレーしていた。練習の方法として面白いと思
った点は、崩れた状況を作るために、ボールデッドになるとコーチが、ボールをラ
ンダムに出していることだった。驚いてばかりだったが、運動量が豊富でほとんど
フライなしだった。この練習は2セットともゲームを中断させ、ベストの判断をさ
せていた(これをJAPANではSTOP THE GAMEと言うらしい)いつも1セットは、
選手を体力的に追い込んで辛い状況下でいかに正しい判断ができるかを、意識して
行っているらしい。
 ポジション別の練習は、個人個人で足りないところ、弱いところを伸ばす練習を
していた。それからクールダウンをして、昼の部の練習は終了した。
 細かく書けばきりがないので大まかに書いたが、各大学での練習メニューとそう
変わりはないのではないだろうか。確かに、JAPANに選ばれている選手は個人の
スキルは国内トップでしかし、スキル以上に違う点がある。それが、「意識の差」で
ある。
 長々と述べてきたが、言いたいことは意識の持ち方でプレーが変わってくるとい
うことである。例えば、単に代表がしている練習や、先輩が考えた練習をこなして
いるだけではある一定程度のレベルアップしか望めない。
 まず、「どうしてその練習をするのか」、そして「その練習の目的はなんなのか」を
示しておくことが大切である。
 「代表と大学の練習においての最も大きな違いは意識の差だ。」全日本代表ヘッド
コーチの大久保氏は言う。
 この意識をいかに1、2年生に刷り込むかがこれからの課題である。大学生活に
おいて短いスパンでチームを仕上げなければならないことは変えようのない事実で
あるが、もっと長いスパンでチームを考えていくことがチームの将来につながるこ
とも事実である。
 最後にJAPANだからといって難しいことばかりやっているわけではない。基本
的にやっているプレーは変わらない誰にでもできるプレーを速く(早く)・正確に
やっていくだけということを頭においてほしい。
 そして代表がその名のとおり日本ラクロスプレーヤーの代表であることを忘れな
いでほしい。
 (学生連盟東日本支部広報委員会発行、「JAPAN TIMES1998」より」)


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